用語・基礎
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皮膚と毛 左の図は、皮膚の模式図です。
皮膚の組織の一部として体の殆どの部分に毛が生えています。
毛には、皮膚の保護機能、体温を保つ機能、知覚機能などさまざまな役割があります。
しかし、人間の場合は、衣類の発明等生活環境の変化で、あまり重要な役割を持たなくなってきました。
そのため、ムダ毛と呼ばれる部分が多くなりました。

毛の構造   毛は皮膚の外に出ている毛幹と皮膚の中に埋もれた毛根から成り立ちます。
毛根は表皮の一部が真皮の中に埋もれ込むような構造の外毛管鞘・
皮膚表面付近にでき毛穴の内側に向いた皮脂腺・
毛・毛と外毛管鞘の間の内毛管鞘・毛包球から、
毛包球は、毛包基質(毛母細胞)・それを栄養する毛乳頭から成り立ちます。

毛穴の底の毛乳頭により栄養を与えられた毛包基質は、内毛管鞘と毛を作る材料を分泌し毛根内で固まり毛が形成されます。
便宜上、毛包基質も合わせて毛乳頭と呼ぶ場合もあります。また毛根内の毛本体も、皮膚から出た毛幹とほぼ同質の物は、毛幹と表現する場合もあります。
毛を引き抜いた場合は、毛幹及び毛根内の毛に場合により内毛管鞘と、固まる前の毛の材料がついて出てきますが、ほとんどの場合は毛包基質と毛乳頭は毛根内部に残ります。抜いた毛の先端(一番奥)が、カップ状のふくらみになるのは、毛乳頭の有った場所のくぼみです、このふくらみを毛幹球と呼びます。
毛周期

ヘアサイクル 
  活性化した毛包(毛根)は、成長期>退行期>休眠期>成長期と、状態を変えながら成長活動を行います。

成長期
活発に毛の伸び続ける時期です。
毛乳頭は毛基質に囲まれそこで作られた毛の素が毛穴の中で固まり毛となります。
退行期
成長期が終わり、毛包が毛乳頭から離れ皮膚の浅い位置に移動します。
毛乳頭と毛包は細い表皮細胞の紐でつながっていて、毛包に吊られて浅い位置にあがってきます。
毛の下端は成長期より小さな球状になりますが細かい棘ができ皮膚に強く結びつくようになります。
多くの場合色素細胞が先に活動を停止するため毛の基部は白くなります。
毛根の深さは成長期の1/3くらいになります。

休眠期(休止期)
成長が止まった完成状態の毛です
抜いたときにやたらと痛い、根元が白く小さなこぶになっている毛です。
棍棒のような形なので”棍毛”と呼ばれます。
休眠期の終わりには皮膚との結びつきが弱くなり抜けやすくなります。

成長期の再開
有る程度経つと再び成長期が始まります
毛包が下にのび毛乳頭を包み毛包基質が活性化し新しい毛の成長が始まります。
古い毛が抜けていない場合は抜け落ちるまで1本の毛穴から2本の毛が生えた状態になります
    
不活性な
毛 根
成長期・退行期・休眠期の毛根の他にまだ活性化していない、毛根の予備軍も存在します。
眠り毛根とか、隠れ毛根とか、いろいろな呼び方をされています。
休眠期の毛根も眠ると表現しますがそれらとは異なり、まだ毛を作り出していない毛根を示します。
少し前の資料には、毛包はすべてが胎児のうちに作られその大部分は不活性なままで存在し、活性化したものが、毛サイクルに入るような内容で書かれています。
最近の説明では、表皮を作る細胞は未分化な母細胞なので、毛根に分化する物も一部有るために、
代謝で肌ができるときに新たな毛根もできる。とも書かれています。
皮膚の中に未分化の母細胞が確認されたと言うレポートもありますので、すべてが胎児のうちにできると言うのは誤りでしょうが、肌の代謝の良い年代と、むだ毛の増えやすい年代に相違がある事からも、
かなりの量の不活性な毛包が有ることは否定できないと考えられます。
ヒゲの場合6割から8割の毛包が不活性な状態で存在するとも言われています。
    
毛周期表
部位 休眠期 成長期 成長速度
(mm/日)
成長期の深さ
(mm)
期間(週) 比率(%) 期間(週) 比率(%)
頭皮 12〜18 13 100〜300 85 0.35 3〜5
眉毛 12 90 4〜8 10 0.15 2〜2.5
12 85 4〜8 15
30〜50 50〜70 0.3 2〜4
あごひげ 10 30 50 70 0.4 2〜4
口ひげ 35 16 65 1〜2.5
腋下 12 70 18 30 0.3 3.5〜4.5
陰部 12 70 25 30 3.5〜5
18 80 13 20 0.3
24 80 16 20 0.2 2.5〜4
70 30 0.35 3〜4.5
※ 個人差が大きいので、あくまでも目安です。この範囲にはいるという物ではありません。
*表示は、一般的な数値すら出せないほどばらつきの大きな物です。
休眠期と成長期の毛の比率は、剃ったり抜いたりしていないときに生えているはずの毛の比率です。
自然に抜け落ちる毛や、顔を出していない毛も有るので
期間の比率と生えている毛の比率は計算値には一致しません。
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